「とりあえずいつものメニューで」という練習が、どれだけ繰り返されているでしょうか。
コーチをやりはじめた頃の自分がそうでした。何を教えるかは決まっている。でもなぜその練習をするのか、今の選手のレベルに合っているのか、選手は実際に成功できているのか。そこまで考えていませんでした。
練習は動く。でも選手が伸びているのかどうか、よくわからないまま時間が過ぎていく。「伝えた」と「設計した」は全然違う。そう気づいたのはしばらく経ってからです。
2026/7/22
「とりあえずいつものメニューで」という練習が、どれだけ繰り返されているでしょうか。
コーチをやりはじめた頃の自分がそうでした。何を教えるかは決まっている。でもなぜその練習をするのか、今の選手のレベルに合っているのか、選手は実際に成功できているのか。そこまで考えていませんでした。
練習は動く。でも選手が伸びているのかどうか、よくわからないまま時間が過ぎていく。「伝えた」と「設計した」は全然違う。そう気づいたのはしばらく経ってからです。
練習を設計する前に確認することがあります。今日の選手の状態はどうか。チームとして何を目指していて、それが選手と共有されているか。
体調不良や疲れが残っている状態でハードな練習をやっても、怪我のリスクが上がるだけです。またコーチだけが目標を知っていて選手が知らない状態では、練習の目的が共有されません。
今の状態と目指す方向を把握すること。これが設計の出発点です。
練習の目的には段階があります。①知る(初めて教える)②意識すればできる③無意識でもできる、の3段階です。
「何回かできた」と「試合で自然に出る」は全然違います。「一回やらせたらできた。もう教えなくていい」はよくある思い込みです。試合で当たり前に使えるようになる③の段階まで、繰り返しと時間が必要になります。
今日の練習が①②③のどこを狙っているか。決めておくだけで構成が変わります!
コーチが陥りがちな落とし穴は、知っていることを全部伝えたくなることです。
選手が一度に意識できることは限られています。一つの練習に3つも4つもポイントを伝えると、選手は混乱して何も身につかないまま終わります。
その練習で「これだけ」という一点を決めて、それ以外は見て見ぬふりをする。
気になったことはメモして次の機会に回す。この「言わない勇気」が指導の精度を上げます。
同じ練習でも、人数やスペースの広さ、スピード、コンタクトの有無で難易度は変わります。
難しすぎると全然成功しなくてつまらない。簡単すぎると慣れてしまってやる気が出ない。選手がギリギリ成功できるラインを探すことが集中力を維持する鍵です。
少し難しすぎるなと感じたらスペースを広げる。簡単に成功しすぎているなと感じたらプレッシャーを加える。このレベル感の調整がコーチの大切な技術のひとつです。
決めたメニューに固執しないことも大事です。
成功率が高すぎれば難しくする。低すぎれば易しくする。選手の反応や表情を見ながら、その場で柔軟に変えていきます。
「今日の練習はこれで行く」と決め込むより、目の前の選手に合わせることのほうが大切です。
もうひとつ意識したいのが一人あたりのプレー参加回数です。
2時間の練習でボールに触れているのが10回だけ。この状態では上手くなりません。コツを掴むには成功と失敗を繰り返す経験が必要で、その回数が少なければ時間がかかります。
この練習で一人何回プレーできるか。その視点を持つだけでメニューの構成が変わります。大人数での練習が多い場合は、小グループに分けてプレー回数を確保する工夫が必要です。
コーチが練習前に5分考えるだけで同じ時間でも選手の成長は変わります。

三原 亮太(りょうたコーチ)
ラグビーの時間 代表
元近鉄ライナーズ。小・中学生専門のプロラグビーコーチ。「モチベーションレベルを高めて、次のステージへ」を信条に、選手と保護者に伴走しています。
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