「怒らないコーチ」を目指した結果、私は選手に何も言えないコーチになりました。
「子どもに怒るのはNG」。その言葉を受け取ってから注意の仕方が分からなくなった。強く言えば萎縮させてしまう気がして言葉をのみ込む。そんなコーチはいませんか。
結論から言うとダメなのは「怒ること」ではありません。ダメなのは「感情のままに怒ること」です。自分の中に叱る基準を決めておけば怒鳴らずに伝えられます。
私自身も言葉遣いのいい環境で育ったわけではないので今も一生懸命に直しているところです。
この記事を読んでわかること- 「怒る」と「叱る」の違い
- 私が軸にしている3つの叱る基準
- 基準を選手と共有する意味
この記事を読むと「怒る」と「叱る」の違いと、私が軸にしている3つの叱る基準が分かります。基準がはっきりすると注意する場面で迷わなくなります。やがてコーチが言わなくても選手同士で声をかけ合うチームに変わっていきます。
怒鳴り声がチーム全体を縮こませた
ある試合で、選手を激しく怒鳴りつけているコーチを見ました。
その声を受けた選手は萎縮して固まっていました。それだけじゃない。周りで見ていた他の選手まで目に見えてプレーが小さくなっていきました。
コーチの一言がチーム全体を縮こまらせていたんです。
あの言い方でパフォーマンスが上がる選手はほぼいません。怒鳴られた子どもに残るのは「恐怖の感情」だけです。なぜ怒られているのかという本質は何も伝わっていません。
「怒る」と「叱る」は全然違う
私自身の話に戻します。「怒ること全般がダメだ」と意識しすぎた結果、選手に注意することすらできなくなりました。叱ることもしっかり伝えることも。
ただの優しくて甘いコーチ。今思えばあのころの選手たちには本当に申し訳なかったと思っています。
でもその失敗があったから気づけたことがあります。試行錯誤を重ねてたどり着いたのがこれです。
ダメなのは「怒ること」じゃない。「感情のままに怒ること」がダメなんだ。
「怒る」と「叱る」は全然違います。
怒るのは自分の感情を発散させること。
叱るのは相手の成長のために正しい基準を伝えること。
どれだけ「子どものために」と思っていても感情のままに怒鳴ることに意味はほとんどありません。届くのは恐怖だけで本質は何も伝わらないんです。
コーチが持つべき「叱る基準」の3つ
ではどうすればいいのか。大事なのは叱る基準を自分の中にしっかり持つことです。
私が軸にしているのは次の3つです。
① 時間を守らない
② 人の話を聞かない
③ 一生懸命やっている人の邪魔をする
これに違反したときは毅然と伝えます。感情ではなく理由とセットで。
逆にそれ以外の失敗やミスは責めません。うまくいかなかった場面は「次どうするか」を一緒に考える。ミスをして一番つらいのは本人なので傷口に塩を塗る必要はないんです。
りょうたコーチ叱る基準は先に決めておいてください。私はこの3つ以外のミスは責めないと決めています。
基準が明確になると選手も「これはアウト、これはOK」が自然と分かってきます。そしてやがてコーチが言わなくても選手同士で注意し合う文化が生まれていきます。
コーチの在り方がチームの空気をつくる
コーチがミスを責めれば選手も味方のミスを責めるチームになります。コーチが感情を制御して落ち着いてプレーを分析する。すると選手も同じようになっていきます。
コーチの言葉や感情は意識していなくても選手全体に伝染していくんです。
「怒る」と「叱る」の違いを意識するだけで指導者としての在り方はガラッと変わると思っています。
基準がひとつ決まるだけで注意する場面の迷いは消えます。感情ではなく理由で伝えられるようになると「なぜそれがダメなのか」がちゃんと選手に届きます。やがてコーチが黙っていても選手同士で声をかけ合うチームになります。
次の練習の最初に自分の叱る基準を選手に言葉で伝えてみてください。1回で終わらせず伝え続けることが大事です。
コーチになりたてのころの自分に伝えるとしたらまずこれを言いたい。
「怒らなくていい。でも叱る基準だけはちゃんと持っておけ」と。