コーチになりたてのころ、こんな言葉を何度も聞きました。
「子どもに怒るのはNG」
それを真剣に受け取った私はとにかく怒らないように意識しました。
その結果、選手に注意することすらできなくなりました。叱ることもしっかり伝えることも。
ただの優しくて甘いコーチ。
今思えば、あのころの選手たちには本当に申し訳なかったと思っています。でも同時にその失敗があったから気づけたことがあります。
2026/7/12
コーチになりたてのころ、こんな言葉を何度も聞きました。
「子どもに怒るのはNG」
それを真剣に受け取った私はとにかく怒らないように意識しました。
その結果、選手に注意することすらできなくなりました。叱ることもしっかり伝えることも。
ただの優しくて甘いコーチ。
今思えば、あのころの選手たちには本当に申し訳なかったと思っています。でも同時にその失敗があったから気づけたことがあります。
ある試合で、選手を激しく怒鳴りつけているコーチを見ました。
「お前、何してんねん!」
その声を受けた選手は萎縮して固まっていました。それだけじゃない。周りで見ていた他の選手まで目に見えてプレーが小さくなっていきました。
コーチの一言がチーム全体を縮こまらせていたんです。
あの言い方でパフォーマンスが上がる選手はほぼいません。怒鳴られた子どもに残るのは「恐怖の感情」だけです。なぜ怒られているのか、本質は何も伝わっていない。
ただ「怒ること全般がダメだ」と意識しすぎた私は先述のとおり甘いコーチになってしまいました。
試行錯誤を重ねてたどり着いたのがこれです。
ダメなのは「怒ること」じゃない。「感情のままに怒ること」がダメなんだ。
「怒る」と「叱る」は全然違います。
怒るのは自分の感情を発散させること。
叱るのは相手の成長のために正しい基準を伝えること。
どれだけ「子どものために」と思っていても、感情のままに怒鳴ることに意味はほとんどありません。子どもに届くのは恐怖だけ。「なぜそうしてはいけないのか」という本質は何も伝わらないんです。
ではどうすればいいのか。
大事なのは叱る基準を自分の中にしっかり持つことです。
私が軸にしているのは次の3つです。
① 時間を守らない
② 人の話を聞かない
③ 一生懸命やっている人の邪魔をする
これに違反したときは毅然と伝えます。感情ではなく理由とセットで。
逆にそれ以外の失敗やミスは責めません。うまくいかなかった場面は「次どうするか」を一緒に考える。ミスをして一番つらいのは本人なので傷口に塩を塗る必要はないんです。
叱る基準は先に決めておいてください。私はこの3つ以外のミスは責めないと決めています。
基準が明確になると選手も「これはアウト、これはOK」が自然と分かってきます。そしてやがてコーチが言わなくても選手同士で注意し合う文化が生まれていきます。
コーチがミスを責めれば選手も味方のミスを責めるチームになります。コーチが感情を制御して落ち着いてプレーを分析する。すると選手も同じようになっていきます。
コーチの言葉や感情は意識していなくても選手全体に伝染していくんです。
コーチの感情はそのまま選手にうつります。まずは自分が落ち着くことから始めてみてください。
「怒る」と「叱る」の違いを意識するだけで指導者としての在り方はガラッと変わると思っています。
コーチになりたてのころの自分に伝えるとしたらまずこれを言いたい。
「怒らなくていい。でも、叱る基準だけはちゃんと持っておけ」と。

三原 亮太(りょうたコーチ)
ラグビーの時間 代表
元近鉄ライナーズ。小・中学生専門のプロラグビーコーチ。「モチベーションレベルを高めて、次のステージへ」を信条に、選手と保護者に伴走しています。
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