教えている内容は間違っていないはずなのに選手に届いていない気がする。話しかけても反応が薄い子がいてどう関わればいいか分かりません。そんな悩みを持つコーチは多いと思います。
答えはシンプルです。信頼には順番があります。まず名前。次に挨拶と雑談。プレーの話はその後です。この年代の選手は言葉の正しさより人を見ています。
自分は週1回しか会えない選手でも2〜3週目までには全員の名前を覚えると決めています。
この記事を読んでわかること- 正しいアドバイスが届かない本当の理由
- 名前・挨拶・雑談・プレーの順番
- 今日の練習で最初にやること
この記事を読むと正しいアドバイスが届かない本当の理由が分かります。そして今日の練習で最初にやることがはっきりします。順番を守り続けると反応が薄かった選手のほうから歩いてきて「教えてください」と言ってくれる日が来ます。
反応が薄い子だと決めつけていた
今、中学2年生のある選手の話です。
出会ったころその子は私とあまり話すタイプではありませんでした。話しかければ返してくれる。でもそれ以上は広がらない。自分から聞きに来ることもありませんでした。
正直に言うと昔の私なら「反応の薄い子だな」で終わらせて距離を置いていたと思います。
変化のきっかけになったのは特別な指導ではありません。挨拶、雑談、それからプレーの話。この順番を守り続けた先にその子から声をかけてくれた日がありました。
もう一つ決めていることがあります。できていない子ほど自分から話しかけに行くということです。
「なかなかできてないなという子に積極的に逆に話しかけに行く、雑談でもいいから。このコーチに教わりたい、このコーチなら大丈夫という安心感を与えるということが、実は結構大事」
放っておけば距離は開くばかりです。うまくいっていない子ほどこちらから近づいていく。これも順番でいえば雑談の段階の話です。
意識したのは雑談と声かけだけ
その子に特別な指導をしたわけではありません。意識したのは2つだけです。
練習前の雑談と練習中の声かけ。この2つです。
グラウンドに来たらプレーと関係ない話を一言ふる。「最近どう?」くらいの何気ない話です。練習中は良い動きを見つけたらその場で声にする。それを焦らず続けました。
小学校高学年から中学生の選手は「その言葉が正しいか」より「この人を信じられるか」で聞くかどうかを決めています。
どれだけ正しいアドバイスも信頼がなければ届きません。まず挨拶、次に雑談、プレーの話はその後。この順番だけは崩さないと決めていました。
りょうたコーチ雑談の中身に意味を持たせなくて大丈夫です。「最近どう?」の一言を毎回続けるだけで十分です。
すぐには何も変わりません。雑談は雑談のまま。それでいいと思っていました。
コーチが陥りやすい落とし穴があります。選手が求めていないタイミングで教え込んでしまうことです。どれだけ大切な内容でも本人が求めていなければ聞き流されます。
だからこの時期にやるのは教えることではありません。聞きたくなった選手がいつでも来られるように窓口を広げて待つことです。
ある日、向こうから聞きに来た
変化は練習後にやってきました。
その子が自分から歩いてきてこう言ったんです。
向こうからプレーのことを聞きに来てくれた。初めてのことでした。
嬉しかったです。教えたことが伝わった瞬間より嬉しかったかもしれません。信頼ができてその上でやる気が育ってきた証拠だと感じたからです。
もし最初からプレーの指摘ばかりしていたら。「評価してくる人」として警戒されたままこの日は来なかったと思います。
りょうたコーチ待っている間は不安になります。でも教えたい気持ちをこらえた分だけ届く言葉になります。
信頼には順番があります。挨拶、雑談、それからプレーの話。遠回りに見えて聞きに来てくれるまで待つのが一番の近道でした。
遠回りに見える順番が一番の近道
反応が薄いように見える子ほど順番を守って焦らず待ってみてください。
信頼を築くのに特別なスキルはいりません。名前を呼ぶこと。挨拶をすること。関係のない話を一言すること。人と関係を作るときに当たり前にとるコミュニケーションです。
この記事のまとめ- 中学生の選手は言葉の正しさより「この人を信じられるか」で聞くかを決めている
- 順番は名前を覚える→挨拶→雑談→プレーの話。ここだけは崩さない
- できていない子ほどコーチから話しかけに行く
- 求めていないタイミングで教え込んでも聞き流される
- 聞きに来られるように窓口を広げて待つ
この順番を守り続けると自分の足で歩いてきて質問してくれる選手が出てきます。「教えてください」と来てくれた日の嬉しさはちょっと忘れられないものになります。
次の練習でやることは一つだけです。プレーの指摘を一つ我慢して代わりに一番話せていない選手の名前を呼んでみてください。「最近どう?」の一言で十分です。