選手として育ってきたころ、こんな場面が何度もありました。
「なんでそうしなきゃいけないの?」と思って聞くと、「そういうもんや」「俺の時代はそうやった」という答えが返ってくる。
腑に落ちなかった。
なぜそうするのかを言葉で説明できないコーチが多かった。ただ経験があるというだけで。
「自分がコーチになるなら、ちゃんと根拠を持って教えたい」——その思いは選手時代からずっと持っていました。
2026/7/13
選手として育ってきたころ、こんな場面が何度もありました。
「なんでそうしなきゃいけないの?」と思って聞くと、「そういうもんや」「俺の時代はそうやった」という答えが返ってくる。
腑に落ちなかった。
なぜそうするのかを言葉で説明できないコーチが多かった。ただ経験があるというだけで。
「自分がコーチになるなら、ちゃんと根拠を持って教えたい」——その思いは選手時代からずっと持っていました。
コーチになって最初の1年、私は大きな勘違いをしていました。
「自分の知っていることを伝えれば、選手は上手くなる」
そう思っていた。
でも実際は違いました。知識を伝えてもポカーンとされる。何度言っても変わらない。
そこで初めて気づいたんです。選手時代に嫌だと思っていた「感覚で教えるコーチ」と自分が大してかわらないことを。
知識があっても教え方を知らなければ意味がない。
そこから「教え方そのものを学び直す」ことが始まりました。
コーチを続けていて感じるのは過去の経験だけに頼ることの危うさです。
ラグビーの戦術は進化しています。スポーツ科学の知識も更新され続けている。自分が選手だったころの「当たり前」が今では非効率だったとわかることも少なくありません。
自分が習った当たり前が今は非効率になっていることもあります。一度確かめてみてください。
「俺の現役時代はこうだった」「ずっとこうやってきた」——その言葉だけでは今の選手に正しい方向性を示せないことがある。
過去の経験は財産。でもそれだけでは不十分。
大人が学ばなければ、選手が間違った方向に成長してしまう。これはコーチングを続けるなかでずっと感じていることです。
うまく伝わらないとき、つい「あの子は飲み込みが遅い」「やる気がない」と思いたくなることがあります。
でもそこで立ち止まって自分に問いかける。
「ちゃんと伝わる方法で伝えたか?」
「その子の段階に合った伝え方をしたか?」
「そもそも自分は、この技術を言葉で説明できているか?」
選手が理解できないのはコーチ側の伝え方の問題であることが多い。
伝わらないときは選手ではなく自分の伝え方を疑ってみてください。私はいつもそこに戻ります。
自分の指導や言動に改善点がないかを見つめ直すこと。その姿勢が学び続けることにつながっていきます。
選手は私たちコーチの言葉を信じて動きます。その言葉に根拠がなければ、ついてきてくれた選手の時間が無駄になる。
コーチが学び続けるのは自分のためでも資格のためでもない。目の前の選手のためだと思っています。
「なぜそうするのか」を言葉で説明できるコーチでいること。選手時代の自分が求めていたものです。今もそれを自分に課し続けています。

三原 亮太(りょうたコーチ)
ラグビーの時間 代表
元近鉄ライナーズ。小・中学生専門のプロラグビーコーチ。「モチベーションレベルを高めて、次のステージへ」を信条に、選手と保護者に伴走しています。
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