ラグビーの時間

ACADEMY

レッドハリケーンズアカデミーで
大切にしているコーチングの考え方

私はレッドハリケーンズアカデミーで、主に小・中学生年代の選手たちを指導しています。

ここでは、練習メニューや技術の話ではなく、私が「どんな考え方で子どもたちと向き合っているか」——コーチングの哲学と、選手への接し方についてお伝えします。

01

選手の「今」を見て、関わり方を変える

選手のやる気には段階があります。

  • 友達がいるから来ている
  • ラグビーをプレーするのが楽しい
  • 試合で勝ちたい
  • もっと高いレベルでプレーしたい

この段階は選手ごとに違いますし、同じ選手でも日によって変わります。
学校のこと、家でのこと、その日の体調。
グラウンドの外で何があったかは、一人ひとり違うからです。

だから私は、まず選手をよく観察することから始めます。

やる気が高まっていない選手に、どれだけ熱心にアドバイスをしても響きません。
指導が届くのは、選手自身が「知りたい」「上手くなりたい」と思ったときです。

コーチの仕事は、教え込むことではなく、

  • 選手のやる気が高まるような声かけと雰囲気をつくること
  • 選手が聞きに来たとき、いつでも応えられるように知識を蓄えておくこと
  • 「いつでも聞きに来ていいよ」という関係を、普段の何気ない会話から築いておくこと

だと考えています。

02

声のかけ方は、一人ひとり変える

同じことを教えていても、かける言葉は選手によって変えます。

比べる相手は、他人ではなく「過去のその子自身」です。
「前よりここができるようになったね」と、伸びた部分に目を向ける。
ミスや結果を数える減点方式ではなく、成長を見つける加点方式で選手を見ます。

「なんでミスしたんや」は言いません。
ミスをして一番つらいのは本人だからです。
責める代わりに、「次はこうしてみよう」と、次につながる言葉を渡します。

褒めるときは、結果や能力ではなく「努力の過程」を褒めます。
そして、みんなの前で個人のミスを注意することはしません。
自分がされて嫌なことは、選手にもしない。
当たり前のことですが、コーチという立場になると忘れがちなので、いつも意識しています。

03

問いかけて、待つ

答えをすぐに教え込むことは、できるだけしません。

「今のプレー、どうだった?」「次はどうしてみる?」と問いかけて、本人の口から言葉が出てくるのを待ちます。

子どもに質問をしたあと、すぐに答えが返ってこないと、大人はつい言葉を重ねてしまいます。
でもそれでは子どもは混乱するだけです。
「ゆっくり考えていいよ」という雰囲気で待てば、時間はかかっても、ちゃんと自分の答えが返ってきます。

自分で考えて答えを出す経験の積み重ねが、試合での判断力になり、ラグビーを離れたあとも一生の武器になると信じています。

04

やる気は「外」から始めて、「内」に移していく

やる気は、最初は「ごほうびで釣る」ところから始まってもいいと考えています。

大事なのは、その過程で「やったら伸びた」という成功体験を得ることです。
成功体験を通ると、やる気は自分の内側から湧いてくるようになります。

私自身、太って動けなかった子どもの頃、親に強制された縄跳びから始まりました。
最初はごほうび目当てでしたが、続けるうちにできることが増えて楽しくなり、最後は誰に言われなくても跳び続けるようになっていました。

「これをやったら、こうなれる」が本人の中に育ったとき、子どもは強くなります。

05

1年をタームで区切り、計画的に積み重ねる

コーチングは、その日の思いつきではやりません。

1年をいくつかのターム(期)に区切り、それぞれのタームで「今はここを伸ばす」というフォーカスするポイントを決めます。
そのタームの間は、決めた重点にしぼって、継続的に取り組みます。

伝えることも絞ります。
一度にたくさん教えると、子どもは混乱するだけです。
気になるところがあっても、今のフォーカスと違えば、ぐっとこらえて言わない。
一つできるようになったら、次のポイントに進む。

成長には「知る→意識すればできる→無意識でもできる」という段階があります。
一度できたからといって、次もできるとは限りません。
焦らず、長い目で、でも行き当たりばったりにせず計画的に。
この積み重ねが、1年たったときの大きな差になります。

06

「怒る」と「叱る」は違う

基本的に、失敗を責めることはしません。
ただし、明確な基準を持って「叱る」ことはあります。

  • 時間を守らない
  • 人の話を聞かない
  • 一生懸命やっている人の邪魔をする
  • 怪我につながる危険な行為

ダメなのは「怒ること」ではなく、「感情のままに怒ること」です。
その日の気分で叱ったり叱らなかったりは、絶対にしません。

基準を選手たちと共有しておくと、コーチが言わなくても、選手同士で声をかけ合うようになります。

そして、感情のままに怒鳴っても、子どもに残るのは恐怖だけで、中身は届いていません。
大事なのは「怒る」ことではなく「諭す」ことだと考えています。

07

できないのは、選手のせいではない

「伝えた」と「指導した」は違います。

指導で大事なのは、選手が理解して、できるようになることです。
選手ができないのは選手の問題ではなく、コーチの伝え方の問題。
教えていないことができないのは、当たり前です。

だから私は、上手くいかないとき、まず自分に矢印を向けます。
伝え方は適切だったか、タイミングは合っていたか。
コーチも人間なのでミスをします。
そのときは、大人も子どもも関係なく、素直に認めて選手に謝ります。

そして、選手にも同じことを伝えます。
他人や環境のせいにしている間は、何も変わらない。
「今の自分に何ができるか」を考えられる人が、一番伸びる、と。

08

コーチと選手に、上下関係はない

コーチは、選手より少し経験があって、失敗のパターンを知っているだけです。
それ以上でも、それ以下でもありません。

この年代の子どもたちは、「その言葉が正しいか」よりも「その人を信じられるか」で聞くかどうかを決めます。
どれだけ正しいアドバイスも、信頼関係がなければ届きません。

だからこの年代のコーチングは、まず信頼を築くところから始まります。
練習前後の何気ない会話を大切にして、お互いへのリスペクトを忘れない。
それが、すべての指導の土台です。

GROWTH

現場で磨き、ラグビーの時間に還元する

私にとってこの現場は、コーチング哲学と技術をアウトプットする場であると同時に、それらをさらに良いものへ進化させていく場でもあります。

ここに書いた考え方も、完成形ではありません。
毎週グラウンドで選手たちと向き合い、うまくいったこと・いかなかったことから学び、少しずつ更新され続けています。

そして現場で磨かれた指導は、オンラインスクールや発信など、「ラグビーの時間」のすべての活動に還元されています。
現場で選手と向き合い続けているからこそ、机上の空論ではない、生きた言葉を届けられると考えています。

MESSAGE

保護者のみなさんへ

グラウンドでの指導は、私たちコーチに任せてください。
ご家庭では、日々の生活と「安心できる心の居場所」をつくってあげてほしいと思っています。

コーチは技術と成長を支える専門家、親は生活と心を支える専門家。
役割を分け合い、お互いを信頼することが、子どもの成長を一番後押しすると考えています。

レッドハリケーンズアカデミーの活動内容や、体験・入会のご案内は公式サイトでご覧いただけます。

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